犬や猫の放棄問題は、ペットショップだけのせいなのか
ペットの放棄問題をうけて、フランスで2024年からペットショップでの販売、インターネットでの売買、イルカのショーなどが禁止されます。
日本でも、1人あたりが飼育できる頭数など、改訂がなされています。2022年(令和4年)6月1日から犬、猫にマイクロチップを装着させ、登録するということが義務化されます。下記が環境省のマイクロチップ義務化についてのHPです。
このように、世界の国々でペットの問題に関して、様々な対策が講じられていますが、一番話題として目にするのが、ペットショップを槍玉にあげているものです。
ペット動物とふれあいやすい所は、やはりペットショップになるでしょう。そして、ふれあいやすい場所であるがために、一番目につきやすく、ペット問題について、悪者の対象になっています。
ですが、何でもかんでも、ペットショップが悪いのでしょうか。ペットショップがなくなれば、保護されるペットはいなくなるのでしょうか。今、ペットショップ問題は様々な問題や思想が絡み合って複雑化しています。
素人考えですが、一つ一つ考えていきたいと思います。
問題点1 : 飼育放棄
ペットを飼ってみたのはいいけれど、思っていたより世話が大変だった。全く懐かず問題行動ばかりおこす。
手におえなくなって、見て見ぬふりをする飼育放棄、暴力によって行動を抑え込もうとする虐待。自分には飼うことは無理だったと、無責任にペットを手放す。
これらのことは、ペットに対する知識不足が主な原因になると思います。そして、その知識不足な人に対して、無責任にペットを販売してしまうショップに大きな責任がある。という理由でペットショップが叩かれます。
犬や猫の場合、金額がかなり高額になるので、熱の冷めないうちに、と購買意欲を刺激して早く買ってもらおうとする売り急ぐ姿勢が見られることは否定できません。
衝動買い。これがこの問題の大きな原因だと思われます。売る側、買う側がこの問題を考えていかないと解決しないと思われます。お店側には、ペットを飼うための環境づくりなどの説明義務、各自治体のペットに関する条例の配布、説明。
買う側にも説明を受けてから、一定期間の冷却期間と勉強する時間を設けてから、テストのようなものを実施して、改めて検討するということをすれば、知識不足による飼育放棄はかなり減るのではないでしょうか。
問題点2 : 過剰な繁殖
ペットショップは基本的に利益をだすために経営していると思われます。自然と売れやすいペットを取り扱うことが多くなり、ブリーダーにも人気のペットを求めるようになります。
ブリーダーもいつでもペットをショップやユーザーに販売できるように、繁殖を繰り返し、ペットを手元に置くようにします。悪質なブリーダーになると、コストを下げるために同じペットに何度も繁殖させます。育てる環境もコスト削減のため劣悪な状態であることが多いようです。
法整備で飼育スペースの基準や、飼育できる頭数の限度が決められているようですが、それを守れる所は、最初からそうしていると思います。ペットショップを廃止して、直接ブリーダーとの取引にしたところで、需要側がその要求を改めない限り、簡単には悪質なブリーダーを排除することは出来ないでしょう。
競走馬のように、繁殖時期を決めて、計画的に繁殖、セリといったシステムをつくり、管理していったほうが良いのでしょうか。
問題点3 : 命の売買
ショーケースに並べて、命を商品のように扱う。これが問題となっています。命をお金で買うという行為が咎められています。
ここまでくると、ペットショップの問題ではなく、倫理の問題になってきます。命の売買をどこまで許容できるのかは、考え方によって様々です。
ペットショップを禁止したヨーロッパの国でも、サーカスでの動物ショーはNG。しかし闘牛は法律としては禁止しておらず、その判断は各自治体に任せているようです。
歴史に根付いているかどうかの判断のようです。
もっと極論すると、研究用のネズミの扱い。昆虫はどうなのか。など、ペットショップの有無では語れないほどの大きな問題です。大きすぎて、ペットショップという分かりやすいごく一部の現象を取り上げ、議論がなされていることに違和感を覚えます。
まとめ
ペットも一つの命である。乱雑に扱うことは許されません。しかしそれは今現在の倫理観からな考えです。長い歴史の中で作り上げられてきた、ペットと人間の関係。
売る側もその歴史の中で是として生まれてきたものです。昔からあったものを、今の価値観で「悪」「非人道的」と罵ることは間違えていると思います。
今は、転換期なのではないでしょうか。ペットとその扱いに対して、考え直す時期。今までのやり方では、今の価値観に対応しきれなくなってきたから、そのシステムを見直すタイミングなのでと思います。ただの否定ではなく、改善を考える。これが大事だと思います。
ペットショップは身近に動物と触れ合え、飼い主としての一歩を踏み出せる場です。入口を狭めてしまうと、ペット業界が小さな、閉鎖された業界になってしまいます。
限られた世界での扱いになるので、マニア志向の強い繁殖や環境が助長されかねません。ペットを飼っていないに人との差別化が大きくなり、今以上に軋轢が強くなってしまうのではないでしょうか。
ペット業界は、動物好きな人に提供することを考えるのではなく、「動物が嫌いな人に、どうすれば隣にいても我慢してもらえるように出来るか」を考える時が来ているのだと思います。
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